「無添加」表示の本当の意味、知っていますか?食品添加物の基本とラベルの読み解き方
「無添加」という言葉が、食品選ぶうえでの一つの基準になっている方も多いと思います。しかし、その表示は本当にあなたが考えるものと一致していますか?
例えば、「無添加」と書かれた食品を買ったのに、原材料名に「調味料(アミノ酸等)」と書いてあることだってあるんです。…これは添加物じゃないのでしょうか?
「無添加=安心」と決めつけずに、食品添加物の基本と、「無添加」表示のルールについて正しく理解しましょう。
1. 「食品添加物」とは?役割と安全性
まず、「無添加」を知る前提として、「食品添加物」とはなにかを正しく理解しましょう。
食品添加物とは、食品衛生法で「食品の製造の過程において又は食品の加工若しくは保存の目的で使用されるもの」と定義されています。豆腐を作るための「にがり」のような製造に不可欠なものから、食品の保存性を高める保存料、風味や色合いを良くする香料や着色料、栄養を補う栄養強化剤まで、様々な目的で使われています。
添加物は、現代の食生活を支え、食品の安定供給やフードロス削減にも貢献しているのです。日本では、国が安全性を確認した指定添加物(主に化学合成品など)と、法律の改正前から使用されており、長い食経験がある既存添加物(※1)(主に天然由来のもの。例:クチナシ色素)、天然香料、一般飲食物添加物(食品として扱われるもの)の4つに分類されており、厳格に管理されています。
安全性については、食品安全委員会などの専門機関が評価し、一生涯・毎日摂取しても健康に悪影響がないとされる量(一日摂取許容量:ADI)を設定しています。食品への使用は、このADIを十分下回るよう、さらに厳しい基準が設けられているのです。
2. 「無添加」表示の真実:ガイドラインを読み解く
問題は「無添加」という表示です。「無添加=添加物ゼロ」と誤解されやすいこの言葉ですが、法的な定義はありませんでした。そこで、消費者庁は2022年に「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」を策定しました。
このガイドラインの重要なポイントは、「何が」無添加なのかを具体的に示さずに、単に「無添加」とだけ表示することは、消費者に誤認を与える可能性があるため原則禁止となった点です。
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OK例: 「保存料無添加」「着色料不使用」
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NG例: 「無添加」(←何が無添加か不明)
つまり、「無添加」と書かれていても、他の種類の添加物が使われている可能性は十分にあります。必ず原材料表示を確認し、「/」(スラッシュ)以降に添加物が記載されていないか、あるいは「調味料(アミノ酸等)」のような用途名併記がないかをチェックする必要があります。
また、食品表示法では、以下の2つのケースで添加物の表示が免除されます。
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加工助剤(かこうじょざい): 食品の製造過程で使用されるが、最終的な食品に残らない(または残ってもごく微量で影響しない)もの。 (例:食品から特定の成分を抽出するための溶剤など)
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キャリーオーバー: 使用した原材料(例:醤油)に元々含まれていた添加物が、最終的な商品(例:せんべい)に残る場合で、その量が微量で効果を発揮しないもの。
そのため、「加工助剤」や「キャリーオーバー」が含まれていても、法律上は「無添加」であり、「添加物の表記だけ」で皆さんが思う「無添加」かどうかを判断するのは困難です。
「無添加」表示のチェックポイント
「何が」無添加か? → 「保存料不使用」など、具体的な記載をみましょう。
原材料表示は? → 成分表示欄の「/」(スラッシュ)の後ろに、添加物名が書かれていませんか?
「無添加」=「添加物ゼロ」ではないことを理解しましょう。

3. 「無添加=健康的」とは限らない?
「無添加」という言葉は、安心・安全のイメージと結びつきやすいですが、必ずしもそうとは限りません。例えば、
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保存料を使わない代わりに、塩分や糖分を多くして日持ちさせている。
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「人工甘味料無添加」でも、果糖ぶどう糖液糖など、法律上添加物として扱われない甘味配合は行われている。
このように、「無添加」表示だけに注目するのではなく、栄養成分表示(カロリー、塩分、糖質など)も含めて、食品全体を評価する視点が大切です。
例えば、l-hubで扱っているSmalltreesグラノーラは添加物を使っていません。しかし、美味しさのためにグレードAアンバーメープルシロップや米油を使用しています。これらも糖質や脂質ではりますので、ご自身の健康状態に合わせて適量をお楽しみいただくことが大切です。
【TIPS】「無添加」表示だけで判断しない
「無添加」という言葉だけでなく、「栄養成分表示」(カロリー、塩分、糖質など)も併せて確認し、食品全体を評価する視点を持ちましょう。
4. まとめ:あなたの選択
私たちは、国の安全基準を信頼し、正しく理解した上で、「添加物を使う・使わない」は、安全か危険かという二元論ではなく、作り手の「想い」だと考えています。ただ、Smalltreesのグラノーラは、【保存料・香料・着色料・人工甘味料 不使用/無添加】です。
あなたが共感できる、「想い」のある製品がみつかるといいですね。
参考文献
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味の素株式会社. 「知る・楽しむ 食品添加物ってなんだろう?」 https://www.ajinomoto.co.jp/products/anzen/know/additives_01.html (最終確認: 2025年10月27日).
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消費者庁. 「食品表示基準について」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_standard/ (最終確認: 2025年10月27日).
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消費者庁 (2022). 「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_standard/pdf/food_labeling_standard_220330_0001.pdf (最終確認: 2025年10月27日).
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厚生労働省. 「食品添加物」(※1) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuten/index.html (最終確認: 2025年10月27日).
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食品安全委員会. https://www.fsc.go.jp/ (最終確認: 2025年10月27日).
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戸部 満寿夫 (2007). 「食品添加物の安全性は今 どうなっているのか」 『生活衛生』, 51(5), 239-247.
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松田 友美, 赤松 利恵 (2017). 「世代や思考様式が食品および添加物の 知識獲得に与える影響の検討」 『日本食生活学会誌』, 28(2), 105-113.
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守部 昭一 (1998). 「食品添加物規制の動向と消費者の対応」 『日本食品科学工学会誌』, 45(11), 692-693.
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伏木 亨, 和田 有史, 山田 貴子 (2016). 「農薬・食品添加物は有害か『化学物質』 に対する意識調査」 『日本食品化学工学会誌』, 63(10), 512-519.









